パラダイス仏生山 2016
江戸時代より松平家の門前町として栄えた仏生山。まちを巡りながら、土地にまつわる記憶や物語が立ち上がる仕掛けをめぐる「演劇まちあるき」の作品制作および上演を行った。3回目となる2016年版は、前回に引き続き、地域のまちづくりを推進する「仏生山まちプランニングルーム」との共催で制作。まちの風景の中にさまざまな演劇的仕掛けが用意され、参加者は3つのグループに分かれてガイドに導かれながらまちを探索。その過程で出会ったさまざまな人々のストーリーテリングを通じて、仏生山というまちを多声的に認識していく。
およそ4年間にわたり断続的に行われたアーティストと地元の人々との対話から生まれた本作品の出演者は、仏生山で生まれた人、住む人、働く人たちである。彼らは個人的な物語の語り手として登場し、仏生山での体験や思いを、彼ら自身の生活空間の中で語り出す。パラダイス仏生山は、まちを舞台にしてつくられた作品であると同時に、現実と作品との境界線で、まちに住む人・演劇を体験する人の「まちの見方」を変化させる試みでもある。彼らの語りが観客のイマジネーションと重なり「作品」として上演されるとき、仏生山にいつもとは違う風景が生まれる。
中澤大輔は、劇団・ぺピン結構設計のメンバーの一員として、本作品の企画立案・リサーチから製作実施までを担当した。ペピンのウェブサイトはこちらから: pepin.jp