ビヘイビアプロジェクト
本作品は、アーティストの中澤大輔が東京/北京/ソウルの街に暮らす人々の「ふるまい」をフィールドワークによって収集し、日中韓3カ国のダンサー2人ずつ、計6人と共に映像・パフォーマンス作品を制作するアートプロジェクト。各都市で撮影した映像や社会学的視点から収集された近現代史資料や各種データを活用し、身近な社会現象である「ふるまい」をテーマに、身体表現とメディア表現を融合させた新たな作品の形を追求する。
ふるまいは、社会で生きる人間であれば誰もが自然に行っている行為であり、生まれ育った地域の文化や歴史、その人がどう在りたいかという意図が表現されている。ふるまいとは、日常生活における自然な「パフォーマンス」だともいえるだろう。
日中韓の3カ国は、地理的・歴史的に関係性が深く、文化的に似ているといわれることもあれば、違いがたくさんあるともいわれる。そうした似て非なる隣人とともに、私たちの「違い」を突き詰めることで、自らの存在をより深く理解し、共生の在り方の可能性を描きたい。
作品制作過程では、中澤大輔が各国のダンサーの協力を得ながら東京/北京/ソウルで撮影・フィールドワークを行い、それ人々のふるまいを収集し、社会学・歴史学者・比較文化人類学などの専門家のサポートをもとに分析を行い、複数の視点から各都市のふるまいの差や、そこに潜む社会構造や歴史的成り立ちの違いについて考察する。また日中韓のダンサー6名を東京に招聘。フィールドワークの過程で感じたふるまいについての違和感や課題意識を、身体表現を交えつつ舞台上で発表する。
ふるまいのリサーチをしていると、現代社会の生きづらさを発見したり、もっとこんな生き方、ふるまいがあってもいいのではないかと感じることが多々ある。日常生活とは違い表現の自由が許された舞台上で、そうした生きづらい日常のふるまいを再構成し、国家や社会といった既存の価値観や制約を越え、作り手と観客がこうありたいと願うもう1つの「パフォーマンス」の制作を試みるのが本作品の狙いである。
本作品の終演後、観客は日常に戻り、いつも目にしている実社会のふるまいを目にするだろう。私たちの作品体験を通じて、そうした日常の「ふるまい」がこれまでと少しでも違って見えたり、観客自らもまた、日常の暮らしの中でいつもとは少し違う「パフォーマンス」をしてみようと感じられる、そんな作品にできればと考えている。
ビヘイビアプロジェクト ウェブサイト
https://behaviour.architectingstories.com/