現在活動中
2019年〜

ビヘイビアプロジェクト

本作品は、アーティストの中澤大輔が東京/北京/ソウルの街に暮らす人々の「ふるまい」をフィールドワークによって収集し、日中韓3カ国のダンサー2人ずつ、計6人と共に映像・パフォーマンス作品を制作するアートプロジェクト。各都市で撮影した映像や社会学的視点から収集された近現代史資料や各種データを活用し、身近な社会現象である「ふるまい」をテーマに、身体表現とメディア表現を融合させた新たな作品の形を追求する。

ふるまいは、社会で生きる人間であれば誰もが自然に行っている行為であり、生まれ育った地域の文化や歴史、その人がどう在りたいかという意図が表現されている。ふるまいとは、日常生活における自然な「パフォーマンス」だともいえるだろう。

日中韓の3カ国は、地理的・歴史的に関係性が深く、文化的に似ているといわれることもあれば、違いがたくさんあるともいわれる。そうした似て非なる隣人とともに、私たちの「違い」を突き詰めることで、自らの存在をより深く理解し、共生の在り方の可能性を描きたい。

作品制作過程では、中澤大輔が各国のダンサーの協力を得ながら東京/北京/ソウルで撮影・フィールドワークを行い、それ人々のふるまいを収集し、社会学・歴史学者・比較文化人類学などの専門家のサポートをもとに分析を行い、複数の視点から各都市のふるまいの差や、そこに潜む社会構造や歴史的成り立ちの違いについて考察する。また日中韓のダンサー6名を東京に招聘。フィールドワークの過程で感じたふるまいについての違和感や課題意識を、身体表現を交えつつ舞台上で発表する。

ふるまいのリサーチをしていると、現代社会の生きづらさを発見したり、もっとこんな生き方、ふるまいがあってもいいのではないかと感じることが多々ある。日常生活とは違い表現の自由が許された舞台上で、そうした生きづらい日常のふるまいを再構成し、国家や社会といった既存の価値観や制約を越え、作り手と観客がこうありたいと願うもう1つの「パフォーマンス」の制作を試みるのが本作品の狙いである。

本作品の終演後、観客は日常に戻り、いつも目にしている実社会のふるまいを目にするだろう。私たちの作品体験を通じて、そうした日常の「ふるまい」がこれまでと少しでも違って見えたり、観客自らもまた、日常の暮らしの中でいつもとは少し違う「パフォーマンス」をしてみようと感じられる、そんな作品にできればと考えている。

ビヘイビアプロジェクト ウェブサイト
https://behaviour.architectingstories.com/

フィールドノート

2022.12.14 ソウル, 韓国

韓国のお辞儀、世界のお辞儀

今回滞在していたホテルは、乙支路(ウルチロ / 을지로)というエリアにあって、印刷所や工具屋、金物加工場といった、小さな工場や問屋が集まる街である。東京でいえば合羽橋や蒲田のようなエリアのような雰囲気といったらいいだろうか。 工場のおじちゃんが通う庶民的な食堂や居酒屋も多いのだが、近年では再開発が進んで閉店や移転を余儀なくされることもあり、また雑居ビルを改装してレトロだけど現代的なデザインのカフェ

2022.12.14
ソウル, 韓国
2022.11.25 ソウル, 韓国

警察官や警備員は傘を指す

大韓民国歴史博物館(대한민국역사박물관)に向かっていると、その手前にアメリカ大使館があり、そこで警備をする警察官たちが日傘を差していた。その日は9月上旬でまだ30度を越える暑さ。日傘を差す警察官について、調べたところ、2018年に熱中症対策として屋外警備の警察官に日傘が配布されたのが始まりだという。 韓国、「暴炎」で警察官に傘配布 ソウルは最高気温更新韓国語で「暴炎(ポギョム)」と呼ばれる猛暑が続

2022.11.25
ソウル, 韓国
2022.10.4 ソウル, 韓国

公共空間は誰のもの?

土曜の夜、ホテルに帰ろうとバスに乗っていると屋台が並ぶ賑やかなストリートがあったので立ち寄った。鍾路3街駅(종로3가역)から清渓川(청계천)に向かう敦化門路(돈화문로)大通り沿いの片側に屋台が出ていた。 土曜の夜のソウル屋台街 清渓川側から見た屋台 一方通行3車線のうち1車線+駐車帯1車線、つまり車道の約半分を通行止にして屋台が出店され、路上にテーブルや椅子を並べている。ネットで調べてもこの屋台街

2022.10.4
ソウル, 韓国
2022.9.16 ソウル, 韓国

働く時間のふるまい

週末はソウル郊外のベッドタウンで人間観察をしたいと思って、ネットで調べていて見つけた記事(ソウルの郊外と通勤をみる)を参考に、ソウル北西部にある Ilsan New Town(일산신도시)を訪れた。ソウル中心部から1時間くらい、住宅地や商業施設が立ち並ぶエリアで、周囲には Ilsan Lake Park や Jeongbalsan Park といった広い公園が計画的に配置された緑豊かなエ

2022.9.16
ソウル, 韓国
2022.9.6 ソウル, 韓国

電車に乗るというプロトコル

週末は、ソウル郊外の住宅街とショッピングセンターを見に行こうと思って、ホテルの最寄り駅から地下鉄に乗った。スマホでメッセージを見ていたのだが、ふと車内が騒がしいことに気づく。まわりを見渡すと、2人や3人で話している人たちが数組いて、その声が少し大きいようだ。携帯電話で話している人も2人いる。地下鉄の騒音で気づかなかっただけで最初からみんな話していたんだろう。週末のソウルの地下鉄は、日本と比べると少

2022.9.6
ソウル, 韓国
2022.9.3 ソウル, 韓国

ソウルでのデモから公共空間のふるまいを考える

ランチの帰り道、紺のチョッキに赤いハチマキを帽子に巻いた人たちが路上で待ち合わせしているのを見かけた。赤いハチマキには「단결 투쟁」と書かれていた。Google翻訳のカメラで翻訳してもらったところ「団結闘争」と訳されたので、労働組合のデモかもしれないと思って、彼らの様子をしばらく様子を見ていた。 50代くらいのおじさんが多いようだったが、若い男性もそこそこいる。彼らの数は次第に増えてきて、どこか別

2022.9.3
ソウル, 韓国
2022.9.2 ソウル, 韓国

感情を押し殺して生きている

仁川空港に到着し、飛行機を降りてくる人たちを、見た目やちょっとした仕草から、韓国人なのか日本人なのか推測したという、前回の話の続き。 入国審査では韓国人と外国人は違う列に並ばなければならないので、そこで答え合わせができたのだが、正解率はざっと7割くらいだった。正確にいうと外国人列には日本人以外の人も並ぶので、もしかしたら彼らが日本人ではなく中国人やベトナム人だったという可能性もあるけど、日本と韓国

2022.9.2
ソウル, 韓国
2022.9.1 ソウル, 韓国

ソウルで10日間、ふるまいを観察しながら暮らすことにした

中澤大輔です。The Behaviour Project の活動の一環として、僕が単身でソウルに10日間滞在しながら、人のふるまいを観察し、テキストを書いたり、写真や映像を撮り溜めることにしました。韓国政府が現在はノービザのキャンペーンを行っているので、それに合わせて8月30日、関西空港から単身、仁川空港へ。 仁川空港に到着して飛行機から降りる時点では、韓国人と日本人

2022.9.1
ソウル, 韓国