アートの仕事
2022年2月5日〜3月21日
トーキョーアーツアンドスペース本郷

本郷職業紹介所

私たちは人生の時間の3分の1を、働くことに費やしている。働くということは、人生にとってとても意義深い行為だが、毎日行っている当たり前のことすぎて、自分の働く意味について改めて考える機会はあまりない。転職や失業で新たな仕事を探す必要に迫られれば、職業について考える必要があるが、今度は仕事を探すことに必死になり、立ち止まってゆっくりと考える余裕がない。心の病であると診断されれば、医師やカウンセラーが必要なケアをしてくれるが、働く意味、生きる意味がわからないという病気はなく、頼れる人は限られているものである。今回の作品ではそうした現代人の、心の問題としては重要だがあまりケアされていない「働く意味」について振り返る、もう1つの職業紹介所をオープンする。

《本郷職業紹介所》の来所者は、アーティストが収集した働く意味についてのインタビュー映像を鑑賞したあと、職員と「面談」を行い自らの働く意味を語る。その内容はインタビュー映像として記録され、本人が望めば映像の一部として会場で上映され、他の鑑賞者に共有される。他者の話を聴き、自らも語り記録されるという行為を通じて、働く意味を振り返る。それは昭和初期に職業紹介所として建設された TOKAS 本郷の建物を舞台に現代社会に提示される「職業紹介所」のもう1つの在り方であり、会場における約1ヶ月半の活動自体が作品となる。


本郷職業紹介所 ウェブサイト
https://jobcentre.architectingstories.com

共同制作者

アーティスト: 中澤大輔
主催: 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
コーディネーター: 小野洵子 辻 真木子(TOKAS)
出演(本郷職業紹介所職員): 大橋力、髙多留美、豊島晴香、三浦智恵利、矢島桃子、渡部友希子
リサーチャー: 岡橋毅
展示施工: HIGURE 17-15 cas 株式会社
オンライン体験: 介川貴晶 (ペンネ株式会社)
映像撮影・照明サポート: 三上亮
協力: 太田草太郎、土師浩子、工忠照幸、工忠衣里子、里見有祐、大橋磨州、石井裕太、山本尚毅、長澤雪恵
写真撮影: 加藤 健(画像提供: トーキョーアーツアンドスペース)