アートの仕事
2023年4月15日〜16日
森の展示室, 京都府京丹波町

元棚田

京都府北部の「綾部」に引越してから2年。コロナ禍で在宅ワークが多く、家の窓から見えるのは山ばかり。山を見ているうちに登りたくなって地図を広げると、綾部市の市境は90%以上が山の尾根を通っている。そこで10日間かけて市境をぐるりと一周歩くことにした。

一番印象に残ったのが、山奥の深い谷にひっそりと佇む元・棚田。江戸時代から近代にかけて開墾された山あいの棚田が、農業の機械化によって非効率な耕作地となったために放棄され、また戦後の林業政策に推されて杉が植林されたことによって生まれた風景だった。林業も時代の流れで衰退したため、その杉林も荒れ果てて放棄されていることもある。

経済成長を迎える前、田舎には現在よりたくさんの人が住んでいた。元棚田がかつてまだ棚田だった頃、そこにはどのような風景が広がっていたのだろう。人はどのように暮らし、働いていたのだろう。ダンサーのシマダタダシと元・棚田を巡りながら浮かび上がってきた情景を記録。2023年の「森の展示室」で、杉林の側にある東屋に記録した映像を展示した。展示したフルバージョンの映像はこちらから鑑賞できる。

https://vimeo.com/ondemand/thelostriceterrace

共同制作者

脚本/構成/演出/撮影: 中澤大輔
出演: シマダタダシ