デザインの仕事
2012

クローゼットから見えた ファッションの未来

ファッション通販会社から仕事の依頼があった。元々は顧客満足度調査だったのだが、人はどのようにして服を買い、コーディネートを決めているのかをリサーチするという提案が通って、プロジェクトを実施することになった。男女数名のお宅を訪問し、クローゼットの中身を見せてもらい、服を1枚ずつ撮影し、その服について語ってもらう。服を通じて、その人の服の好みから、日々の生活、影響を受けた物事、価値観、人生、さまざまな物語が浮かび上がってくる。

通販会社にとっては、実際のユーザが自分たちのサービスをどのように使いながら服を購入し、日々コーディネートしているかという生の話が聞けて、とても貴重な体験になったようだった。依頼された仕事に対してはもちろん十分に価値を提供できたのだが、服を売るだけでない、新たなビジネスの可能性についても、ディスカッションが生まれた。毎日の服のコーディネートを考えたり、自分が試したことのない新しいブランドを試すことで価値観が少しずつ変わっていくような、そんな新しいサービスができないか。話はとんとん拍子に進み、社長に直接プレゼンをすることに。

物事に興味を持つ、深く知るということは、それ自体にすごく意味がり、価値があることで、何か新しいものを作る強いインスピレーションになるんだなということを実感したプロジェクトになった。新サービスはその数年後にリリースされ、現在でも多くのユーザに使われるサービスとなっている。